AI仕事術

AIに「道具を持たせる」のと「やり方を教える」を混同して、2週間同じ指示を書き直していた話

AIに「道具を持たせる」のと「やり方を教える」を混同して、2週間同じ指示を書き直していた話

AIに「新しい道具を持たせること」と「AIに自分のやり方を教えること」を同じものだと思い込んでいたら、2週間、同じような指示を何度も書き直す羽目になっていた。

きっかけは、SlackとGmailを同時に見てほしかったこと

「つなぐ」話と「教える」話をひとつの箱に入れていたのが、そもそもの間違いだった。

副業のちょっとした連絡管理で、SlackとGmailの中身をAIにまとめて確認してほしい場面があった。最初にやったのは「SlackとGmailを読み込む手順書」を書くことだった。手順書には「まずSlackを開いて」「次にGmailを開いて」と、開き方から書いていた。15分かけて書いたのに、AIに渡しても「Slackの中身にアクセスできません」と返ってくるだけだった。

手順書がいくら丁寧でも、AIの手元に道具(Slackを読む権限)が無ければ意味がない。「教え方」の問題ではなく「道具そのものが手元にあるか」の問題だった。ここでやっと、自分が混同していたことに気づいた。

MCPは「道具を持たせる」ほう

MCP(AIが外部のアプリと直接やりとりできるようにする接続の仕組み)は、設定画面から数クリックで終わる話だった。

SlackやGmail、カレンダーなどを「つなぐ」設定は、対応するAIサービスの連携設定(コネクタ)画面から選ぶだけで完了した。実際にかかった時間は、Slack・Gmail合わせて3分ほど。一度つなげば、以降は会話の中で「今日届いたメールを3行でまとめて」と頼むだけで中身を読みに行ってくれるようになった。実際に使ったプロンプトは「Gmailの未読メールを新しい順に5件、送信者と要件だけ1行でまとめて」で、手順書を書く必要はなかった。

Skillsは「やり方を教える」ほう

道具はすでに持っているのに、毎回同じ言い回しの指示を書き直していたのがSkillsで解決する話だった。

もう一つ困っていたのが、社外向けの連絡文を書いてもらうたびに「ですます調で」「結論を先に」「一文は短く」と、同じ注意書きを貼り付けていたこと。これは道具の問題ではなく、AIに自分の「型」を覚えさせる話だった。

最初の指示文を書くのに15分、2回使って言い回しのズレを直し、3回目でほぼそのまま使えるようになった。合計で30分弱かかったが、以降は「いつもの調子で」と一言頼むだけで、注意書きを貼り付ける手間が消えた。

MCPとSkills、それぞれ何をする仕組みか

MCPはAIに新しい道具(SlackやGmailなど外部サービス)を持たせる接続の仕組み。Skillsはその道具の有無に関係なく、AIに自分なりの手順や言い回しを覚えさせておく仕組み。「道具を渡す」のがMCP、「やり方を教える」のがSkills、という向きで分けると混同しにくかった。

混同したまま2週間、何を損していたか

「無いもの」を手順書で補おうとし、「有るもの」を毎回説明し直していた。二重に遠回りしていた。

悪い例:Slackを読ませたくて、開き方から書いた15分の手順書を用意した(道具が無いので何をどう教えても動かない)

良い例:Slackはコネクタ設定でつなぎ、社外文面の型だけをSkillとして教えた(道具は接続、やり方は指示、で役割を分けた)

混同に気づいてからは、「これは新しいアプリの話か、それとも言い回しの話か」を先に自問するようになった。それだけで指示の書き直しがほぼ無くなった。

今日からできること

AIに何かをやらせたいのにうまくいかないとき、まず「これは道具が無い問題か、教え方が足りない問題か」を分けて考える。次に指示を出す前に、以下をそのまま貼ってみる。

「これから頼むことについて、①外部サービス(メール・チャットなど)へのアクセスが必要か、②必要なのは言い回しや手順の指定だけか、どちらに近いか先に聞いて」

この一言をはさむだけで、道具の話と教え方の話を自分で切り分けずに済むようになった。